2005/10/30

キン●マ(本文ではノーカットでお送りしています)

 ボスの所で働いていた時ある日急に、
”お前、明日からカメラマンね”
と告げられました。
”ええ〜っ!”
てなもんです。今考えてみるとボスがいろいろ手を回してくれてオレの為に仕事を取ってくれたのです。ボスのアシストをそつなくこなす事にかけては自信がありましたが(遅刻癖はまだ治らず...)”自分が撮影するなんて!!”って感じでした。嬉しいというより不安でした。

  翌日からカメラマンになりました。ボスのライティングを見よう見まねで組んで撮影したのですがどうすればいいのか全然分かりませんでした。そもそも、自 分のなかに”どうしたいのか?”というビジョンが無かったのです。早く立ち会いの編集者が”これでいい”って言ってくれないかなと思いながらやってまし た。

 で、諦めた編集者が”じゃあこんなもんで...”と言い出しそうな頃、スタジオにボスがやって来るのです。何枚も切ったポラを見ながら、
”全然お前らしい写真になってないな!”
と言ってライトをいじり始めるのです。
”ほら!こんなもんでどうだ?”
勿論写真は良くなっていましたが、それのどこがオレらしいのか全く分かりませんでした。そういった日々が何ヶ月も続きました。はっきり言って苦痛でした。ボスとそして自分にむかつきました。

”バイキー(当時のオレの呼び名です)、写真はキンタマで撮るもんだぞ!”
ことあるごとにボスにそう言われました。
キンタマ?
ついてるけど...

  ある日、カタログの仕事をまかされオレは社外のスタジオに一ヶ月半位籠る事になりました。うちにもたまにしか帰れなく朝も昼も無く一日数百カットという 撮影を毎日続けているとだんだん余計なものが削ぎ落とされていくのが分かりました。そうして残ったものがオレのキンタマだったのです。
 その時のオレのキンタマは自分で言うのもなんですが悪くなかったと思います。嬉しかったので撮影終了後、ちょっと自慢げにボスに見せたら笑ってくれました。(勘違いしないように)

 今でもそのキンタマ、じゃなくてカタログは大事に取ってます。

...キンタマキンタマってすみませんな。

Oct.'05,nishi-ogikubo,tokyo,japan

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