2009/10/03
風をあつめてじゃなくて
私がよく行く吉祥寺ハモニカ横丁の居酒屋『万両』は、個人的にはあの辺りで最も風通しの良い飲み屋だと思っています。老若男女問わず受け入れる懐の深さは店主の人徳そのものなのだなと思いながら(実は飲みに行く時にはたいして考えてない)ちょくちょく通っているわけなのですが、、、
夏に入ったくらいの頃から、その店に盲目の紳士が時々訪れるようになりました。
『こんばんは、何処かに座らせてもらえますか?』
と入ってくると、状況を分かっている常連さんは、
『こちらが空いてますよ、どうぞ』
と手を差し伸べて案内します。
『有り難うございます』
そして、席に着くと自分の好きな酒を注文し、あては隣の人に教えてもらってその中で好みのモノをたのみしばし酒と会話を楽しんで帰るのです。
楽しそうに飲む彼を見ているだけでもですが、彼の隣の席に居合わせた常連のおばちゃんが節目節目で何気なく気を遣ってあげているのを見ていてなんだか良い飲み屋だなあ〜といい気分になりました。
初めてお見かけした時には席が離れていたので話が出来なかったのですが、二度目の彼は私の隣でした。
それでいろいろと話したのですが、どうやら目が不自由になったのは40を過ぎてからで(現在は50過ぎ?)、でも職場の理解があったおかげで今でも同じ会社で働いているそうで等々、、、(良い会社だな、、、)
それで、今居るお店の間取りを確認し合ったりしていた時にふと疑問に思ったので尋ねました。
『不躾な質問ですけど、目が見えないとやっぱり聴覚が研ぎすまされるもんなんですか?』
自分がバンドをやってるから思いついた質問だと思います。
そうしたら、
『耳じゃないんです。初めて歩く知らない道を歩く時にはいつもの道よりも時間がかかるんです。それで例えば、細い道に路上駐車をしている車が行く手にあったとするじゃないですか。それを感じるのは空気の流れ、皮膚感覚なんですよ。風が違うんです』
と言われました。
『へええええ〜っ!』
と、酔っぱらった私は声に出して驚きながらがってんしたわけです。
皮膚かあ、、、
Photo:Oct.'09,nishi-ogikubo,tokyo,japan
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1 件のコメント:
I should notify my girlfriend about your post.
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